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zoom RSS 《生への讃歌》2 --ルー・ザロメの『ニーチェ 人と作品』から

<<   作成日時 : 2013/03/04 02:10   >>

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瀬谷こけし

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 やはりはじめにドイツ語を上げておく。
> Je höher er sich, als Philosoph, zur vollen Exaltation der Lebensverherrlichung erhob, je tiefer litt er, als Menschen, unter seiner eigenen Lebenslehre. Dieser Seelenkampf, die wahre Quelle seiner ganzen letzten Philosophie, den seine Bücher und Worte nur unvollkommen ahnen lassen, klingt vielleicht am ergreifendsten durch in Nietzsches Musik zu meinem >>Hymnus an das Leben<<, die er im Sommer 1882 componierte, während er mit mir in Thüringen, bei Dornburg, weilte. Mitten in der Arbeit an dieser Musik wurde er durch einen seiner Krankheitsanfälle unterbrochen, und immer wieder wandelte sich ihm der >>Gott<< in >>Dämon<<, die Begeisterung für das Leben in die Qual am Leben. >>Zu Bett. Heftiger Anfall. Ich verachte das Leben. F. N. <<
(Lou Andreas-Salomé, “Friedrich Nietzsche In Seinen Werken…” Wien. Verlag von Carl Konegen, 1894. S. 223。下線強調は引用者)

 原佑氏の日本語訳を上げておく。
> 彼が、哲学者として、生の賛美という全き発揚状態へとおのれを高く高めれば高めるほど、彼は、人間として、おのれ固有の生の教えのもとで深く苦悩した。こうした魂の闘争こそ、彼のもろもろの書物や言葉が不完全にしか予感させないところの、彼の最後の哲学全体の真の源泉なのだが、こうした魂の闘争が最も感動的に響きわたっているのは、おそらく私の『生への讃歌』によせたニーチェの楽曲であった、それを彼は、一八八二年の夏、彼が私といっしょにチューリンゲン州のドルンベルクに滞在していた間に、作曲したのだ。この楽曲の仕事の最中、彼は病気の発作の一つによって中断され、また繰り返しくりかえし彼には「神」が一変して「デーモン」となり、生への感激が一変して生におぼえる苦悶となった。「床につきます。激しい発作。私は生を軽蔑します。F・N」。
(原佑訳『ニーチェ 人と作品』(ルー・ザロメ著作集3、1974年/1986年、以文社、p.276。太字強調は引用者)

 このルーの考えはほぼ的中しているだろう。まさにルーとともにある生活の中で味わった「魂の闘争」(Seelenkampf)こそが、ニーチェの後期の思想の核になっていることに違いない。そしてまたその「魂の闘争」は、ニーチェが作曲した曲、『生への讃歌』のなかでこそ、もっとも説得的・感動的に語られていると言ってよいであろう。だが、ニーチェは一体いつこの「闘争」(Kampf)に片をつけるのだろう? 闘争に片をつけ、運命愛こそ私のもっとも深い本能だと語れるようになるのだろう? そして、しかし、運命愛とは言わないまでも、自分自身になることという、運命愛のための課題は、むしろルー自身の本性の中に刻まれていたことではなかったのだろうか? ニーチェはルーに二度求婚したと言われている。しかしそれに対してルーは結婚はそもそも自分の本性に合わないと答えたようである。確実に、少しずつルーがニーチェの先を歩んでいる。いわばΔaずつ。『生への讃歌』の歌詞は、ルーのものだった。それも、彼女がニーチェに会うよりも前の作だという。それを見て、ニーチェは曲をつけ、オーケストラをつけ、合唱曲に仕上げる。この曲にニーチェの仕事の最高のものの一つがあることは間違いない。この作曲のための日々と言えるかもしれない。彼らのタウテンブルクの日々は。

Friedrich Nietzsche - Hymnus an das Leben
http://youtu.be/FIOIUlDB5yU









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