インドネシアでムスタキ

瀬谷こけし
今回の旅のはじめの方のどこかで、どこかのホテルで、ジョルジュ・ムスタキの「ジョゼフ」の音楽ビデオが流れていた。バリのホテルか、パレパレのホテルか。例によってテレビをつけっぱなしで寝ていて、不意に耳に入ってきた音楽だった。インドネシア風でない音楽放送だったので、国際放送だったのかもしれない。
 ともあれムスタキの「ジョゼフ」。ヨセフはガリレの町で一番美しい娘を嫁にしたという歌詞がポイントだ。映像は美しい娘が、布を織っていたのか、それとも洗濯物を干していたのか、なかなか顔全体が映らないようなカットからはじまって、やがて美しいその全貌が見えてくるとうい作りだった。マリアはヨセフの妻だった。ムスタキの歌はこの点にしっかり焦点を当てている。イエスの母、キリストの母であるより前に。その自然さがいい。アルバムでは『異国の人』(LE METEQUE)に入っているはずだ。その日本語版をわたしはもっていないのだが、大変好きな歌の一つだ。
 いまこんなことを不意に思い出したのは、松平敬さんの『MONO=POLI』を聴いていたからだ。聴きながら現代の声楽曲は面白くない。ルネサンス期以前のものの方がはるかにいい。精緻精妙な構成がされていて、という印象だ。「Once upon a time」なんていう歌は汚いほど俗な曲だ。現代では、ここに収められた曲では、ただリゲティだけが何かをしている。トーン・クラスターというかつてなかった技法を発見し、精妙に組み立てた。……
 そしてムスタキなのだが、教会音楽がほとんど触れない一線に触れている。というか、そこをはっきりと侵犯している。マリアはヨセフの妻だったのだ。ひとはそのことに立ち返らなければならない。しっかりと、そう呼び掛けている。われわれの基点はそこにあるべきだ。

写真はバリ島のサンチカ・ホテル。2010年3月12/13日。カメラ:NikonD60。



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===== 2015.09.08 追加 ==========

テレビに流れていたのはこの映像、この音楽だった。
Georges Moustaki - mon vieux Joseph
https://youtu.be/l9zTRvZtbOc?list=RDDAqjB5Xmj_w




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  • 【写真】 トラジャで見たもの

    Excerpt: インドネシア・スラウェシ島のトラジャへ行った。 その写真何枚か。 写真はいずれもNikonFE2、nikkor35mmF.2、FUJI RDPIIIを使用。 Weblog: 「世界という大きな書物」  中路正恒ブログ racked: 2010-04-10 13:20