鳥雲の陣 --- 後の月

瀬谷こけし
 郵便を出しに行った。東の空に月が出ていた。ついに、後の月。空に皓皓と照る月は仰ぎ見るもの。満月に向かう姿勢のままに空を渡る。小さなカメラを取り出してそこここで撮るが、帰って見るとどれもブレぼけ。それでも貧しい町を照らしてくれる有り難さは言いようもない。

 家に戻ると、月はすっかり隠れている。だが雲の流れが早い。そうして三脚を持ち出して、ちゃんと構えて撮る。と言っても、ミラーレスの一眼はピントが合わせにくい。
 雲が陣を成しているようだ。そこを月が流れる。呑み込まれ、長く隠れている。だが、やがて風雲急を告げて陣を破り、再び現れて来る。と思う間もなく、また雲に攻められ、襲われ、呑み込まれて行く。
 何度も、そして何度もそんな戦を繰り返す。
 そしてやがて、長い平和が訪れる。
 その平安な姿を見て、わたしも撮影を終わりにする。

 最後は遠くの、この日ここで会えないひとたちの幸せを月に祈る。



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鳥雲の陣に敗れる

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鳥雲の陣を破るや出でる月

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比叡山と

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月の右下、飛行機が飛んで行く










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