高橋淑子歌集『冬虫夏草』紹介

瀬谷こけし
 今日は琵琶湖湖岸にある「千松」というところで、日本歌人京都歌会の十二月の歌会と、仲間の高橋淑子さんの歌集『冬虫夏草』(梧葉出版刊)の出版祝賀会があった。そしてその他忘年会も兼ねていたが。
 この『冬虫夏草』という歌集はとてもよいものだ。この非常に微かなもの、ことを、これほどに取り出せた人は居ないのではないだろうか。ヘルダーリンは「この乏しい時代に何のための詩人か」と問うていた。高橋さんは、その乏しさをこの上もないほどデリケートな表現によって、示している。まことに感心する。人間という存在の乏しさ。---贅言を重ねるのはよそう。いずれきちんとした鑑賞を示したいと思っているが、まずはその中から何首かをしめしておきたい。
 みずからの存在の乏しさを、ひとはどうしたら語れるのか?
 この仕事の貴重さに、ひとはなかなか気付くことができないだろう。朝の食事が日々の再生の大仕事であることに一体誰が気がつくだろうか?


  
  凩の過ぎゆくのみの峠にてわれにやさしき遠き街の灯
      「木犀にほふ」
  けふひと日纏ひし皮を剥ぐごとく背中丸めてセーターを脱ぐ
       同前
  ふたたびは逢ふこともなき風の過ぎ円照寺廻廊きしむ真昼間
      「青葉木菟」
  コーヒー豆と鬱も一緒に挽く朝の香に立てば気も陽に動けり
      「瞑想に泌む」
  カリカリに焼きしベーコン食む音に悔も消されて朝がはじまる
      「陽炎」
  得体知れぬ冬虫夏草飲み下す魑魅魍魎がじわじわと泌む
      「冬虫夏草」
  駅前の通行調査のワンクリック微かな音すわれの存在
      「一期一会」






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