《風の誘い…》

瀬谷こけし

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 「風立ちぬ」、このフレーズが今年再びひとびとの耳に立ち返ってきた。宮崎駿の作品の名として。その前はきっと堀辰雄の作品だった。源を探ればどちらもポール・ヴァレリーの詩「海辺の墓地」の一行にゆきつく。
  Le vent se lève! ... il faut tenter de vivre!
堀の作品中では「風立ちぬ、いざ生きめやも」と訳されていた。肝心の「tenter(試みてみる)」が訳されていないきらいはあるが(これは鈴木信太郎訳も同様)、風が起るその瞬間を聴いてしまったこころの動揺は間違いなく完了の「ぬ」に表わされているだろう。そうなのだ、風を感じてしまったら、新しい生を探検してみなければならない。風は誘うのだ。
  ホウ
  髪(かみ)毛(げ) 風吹けば
  鹿(しし)踊りだじやい  
と、こんな風に(宮沢賢治「高原」)。

 こんなふうに風に耳を傾け、風の誘いに従ってみよう。そういえば芭蕉もこう語っていた。
  予もいづれの年よりか、片雲の風にさそはれて、漂泊の思ひやまず…
風は誘う…。




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