語学のこと (第二外国語を学ぶべきことについて)

瀬谷こけし

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 ドイツ語ができてよかったと思えることがあった。それは2011年4月末のこと、そのころは(3.11以降)精根が尽きるまでツイッターにむかい、福島原発の事故のほんとうの状態や意味を理解し、必要な情報をひとに伝えるべく日夜努力していたが、午前二時頃、このweb上のオーストリアの新聞の記事を誰か訳してくれないか、というツイートを見た。それで早速読んで見たのだが、専門用語と思われる語が少なくなく、そこは間違って訳すとまずいので、まず大意だけ伝えた。福島原発から放散された空気中の放射性物質が、アメリカ西海岸まで流れていっていることを伝える記事だった。その記事は、セシウム134とセシウム137、およびヨウ素131の比率をもとに分析を進めていたこと、そしてその分析がデータとして使っていたのが日本では「高崎ステーション」だけだったことがとても新鮮で、目を開かれる思いがしたのだった。そのときまで高崎ステーションのことを知らなかったのだが、これはCTBT(包括的核実験禁止条約)に基づき放射性核種監視観測を行う国際機関だった。そしてこのCTBT組織のレポートはpdfで誰でもアクセスできるように公開されているものだった。こうしてこの記事を読むことによって、国際社会が何をもとにどのようにして福島原発事故の影響を考えているかが理解できた。そこでは東電発表のデータも、政府発表のデータも、知ってはいるのだろうが、分析に使用されてはいなかった。
 国際社会はアメリカだけではない。世界の諸国の知性をみくびってはいけない。ヨーロッパだけでもない。アジアも、アフリカも、オセアニアも。英語が重要でないということではないが、英語で語られる情報だけでは随分と色付けされた見方になるだろう。それでは世界の半分も見ることができない。ドルでは買えないものがあるように、英語では語れないものがある。世界を狭くしないように、大学生の間にできるだけ多くの外国語に取組むことを希う。



(本稿は、京都造形芸術大学通信教育部補助教材『雲母』代2014年1月号に掲載された同名の記事の原稿です。このほど同誌が発行されたので、ブログにも掲載します)


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