《アサギマダラが指に止まった》

瀬谷こけし
 大学の研究室の前にアサギマダラが来ていて、写真を撮った。ドアを開けても逃げない。それで撮り続けていると、一瞬だが私の指に止まった。シャッターを押す指の爪のあたりに。何という幸運! そう思っていると、また止まりに来てくれた。今度はもう少し長く、2~3秒。
 だいぶ疲れて、休憩に来ていたようだ。どこから飛んできたのか。

 すると今度は階段の下の方に飛んで、一階のドアの取っ手や、水道の蛇口やらに止まる。

 あまりしつこく追うせいか、陽陽館の南側に飛んでいって、その後見えなくなった。
 これから南に飛んでゆくのだろうか? まだまだこの辺で遊んでゆくのか?
 指に止まってくれたのは、ほとんどありえないこと、奇跡のようなことだと思った。

 研究室前に止っていたは、給水より休憩かなという気がする。アサギマダラだから、長距離を飛んできて、さすがに疲れていたのではないかと思う。それから下に行ったのは水分を感じてか。休憩と同時に水分や塩分も欲しいのかもしれない。

 指に止まってくれたアサギマダラに、わたしは、これはもしかして誰かが亡くなって、あの世に行く前に挨拶に来たのではないかと思い、またそうでなければよいがと思った。昆虫生理学的に説明がつけばその方がいい。そばにいたS先生には止ろうとしなかったのだが…。

 アサギマダラを見たのは何度目だろう。最初に見たのは郡上八幡の山の中だった。次に見たのは信州の月夜沢峠からの下りの車の中で。他にあと一、二回どこかで見た気がするが、いずれも写真などほとんど撮れない。元気に、警戒心いっぱいに飛んでいる時にはなかなか撮れない。これほど警戒心のないアサギマダラとの出会いは初めてのことだ。そして指に止まってくれるなど…。
 
 アサギマダラはわたしの大好きな蝶。その力強い魂を分かち持ちたい。以前こんな歌を詠んだのだった。

> 魂に平均律を装填しアサギマダラの繭ごもる夜
http://25237720.at.webry.info/theme/c135d44dc9.html

 グールドの弾くバッハ『平均律』第二集と同じくらい力強いものではないだろうか。これからきっと何かが変わる。


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