リルケの「僧院生活の書」(『時祷集』)2

瀬谷こけし
 標記のものの原文と拙訳を掲載します。このテキストは同志社大学2014年度秋学期「応用2」の試験問題にしたものです。下に若干の注を補し、また後日若干の補説を付したいと思っています。

Rilke, Das Stunden-Buch
I.Das Buch vom mönchischen Leben (1899)

I-2

Ich lebe mein Leben in wachsenden Ringen,
die sich über die Dinge ziehn.
Ich werde den letzten vielleicht nicht vollbringen,
aber versuchen will ich ihn.

Ich kreise um Gott, um den uralten Turm,
und ich kreise jahrtausendelang;
und ich weiß noch nicht: bin ich ein Falke, ein Sturm
oder ein großer Gesang.


2.
わたしは、出来事の上に張られた成長する幾つもの輪の形をなして
わたしの生を生きている。
わたしはその最後の輪づくりを多分完遂することができない、
だがわたしはそれを試みるつもりだ。

わたしは神をめぐって旋回し、最古の塔をめぐって旋回し、
わたしは何千年も旋回をつづける。
そしてわたしはまだ知らない、わたしが一羽の鷹であるか、嵐であるか
それとも一個の偉大な歌声であるか、を。


*注
1)この詩の正しい読解のためにはまず何よりも「Ringen」(一行目)と複数形で記されていることに注目することが必要です。正しい読解はそこから生まれるはずです。こういう気の配り方の必要性は授業中何度も説いたはずなのですが、その気配り、目配りをもって訳した学生が極めて少なかったことが残念でした。
2)「die Dinge」(二行目)を「出来事」と訳したのは、それが単なる物や物体ではなく、物事や出来事であって、その意味を解釈することが自分が(それらの出来事を超えて)自分の人生という輪を張り進めて行くことだと解されるからです。
3)この『時祷集』はルー・ザロメの手に献呈すべく書かれたものです。そしてこの詩ではルーの詩「生への讃歌」の中の「Jahrtausende zu sein!」への応答として「jahrtausendelang」が書かれているのは私には明らかだと思われますが、それについての説明は別の機会に譲ります。この詩を訳せという課題に対してその知識は不用です。



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