《鞍馬川の合歓》

瀬谷こけし
 三重県ではもうネムが咲いているのをネットで知って、少し気持ちがあせっていたが、花巻から京都に戻ったのが21日。それで22日に、毎年ネムの花を楽しんでいる市原近くの鞍馬川ぞいのところに行った。だがはじめにはまったくネムの花の姿が見えない。もしかして木をすっかり移し変えてしまったのかと思うほどだった。車を止めて、だいぶ歩いて、やっと咲いているネムの花を見つけた。その木では、まるごと一本の中にたったの一輪しか咲いていなかった。
 さらに上の方に歩いて探すが、もっとも多く咲いている木でも全体の4-5%ぐらいではないだろうか。鞍馬川のネムの花はまだこれからだ。
 そう言えばわたしが最初にネムの花を実際に見たのも、この鞍馬川沿い、貴船駅の近くの所だった。そのころは鞍馬に下宿していたので、やっと噂に聞く合歓の花を目に楽しむことができたのだ。京都のネムの開花は遅い。市原の辺りでも七月に入ってからが見頃になるだろう。見遅れていはいなかったので安心した。
 だが、この頃の、咲き始めのネムの花は、麗しくまた凛としているように思う。自立して、先立って行くにはちょっとした覚悟がいるのかもしれない。

 そう言えば、草山万兎(河合雅雄)の『宮沢賢治の心を読む』(I)(II)にはとても感心した。著者の確かな学識、知識、経験や体験があってはじめて読み解けた賢治の謎があり、それに深く感心した。しかし、もちろん、ちょっと違うのではないかと感じるところもある。そういうところもまたわたしに研究材料を与えてくれたことになる。堂々とした立論の恩恵は広く大きい。


===========2015.7.2 追加========
 『宮沢賢治の心を読む』(II)の巻末の、編者中村和雄の説明が大変素晴らしいので、この本を誉める仕事はそちらにまかせておけばよいと思う。わたしも<「どんぐりと山猫」を読んで>と、<「注文の多い料理店」を読んで>の二つの章がもっとも素晴らしい謎解きをしていると思う。
 だからこそ言っておかなければならないと思うのは、この本の河合雅雄の(賢治世界の)読み解きが、「自然調和的な世界」と「調和失って盲目的に進んでいる世界」との異なった二つの世界観という図式を暗黙の内に前提にしてしまっているところなのだ。こうした二世界の対比によってではなく、「さまざまな微小変動を交錯させて進んでいるただ一つの世界」というモデルのもと、にすべてを、賢治世界をも含めてすべてを、分析しなければならないとわたしは考えている。わたしがこの本に対して懐く本質的な疑問はこの点だ。





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