《カルボナーラ》

瀬谷こけし

 ローマ滞在もあとわずかになったので、ローマならではの有名な店に行っておこうと思って、「ホスタリア・ラ・カルボナーラ」というカルボナーラ発祥の店に行った。ガイド本にも出ている店なので、混んでいるだろうと思って午後二時直前に着くように行った。ちょっと高齢というか60代ぐらいの細身の女性が店を取り仕切っているようだった。ここはフランス語で行こうと思って、「食事できるか?」(今の時間で一人での意味)と尋ねたら、一人か? OK。ここで待っておけ、と入口のバーのところで待つように言われた。少し日本語も入っていた。予想通り日本人の多く来る店なのだろう。まあ20分ぐらい待たされた。その間、食べ終わった日本人の卒業旅行風の学生の10人ほどの組と、三人の家族と、若い女性の二人組と、見るからに日本人とわかる人たちが出て行った。店の中の壁はいろんなひとの落書きで埋まっている。わりと和気あいあいとした店なのだが(お高くとまった店ではないのだが)、シャープなものもそこここに感じる。それは、きちんとした身なりをして短いあごひげを生やした(給仕長の?)男性のためだと分かる。身動きがとてもきびきびしている。
 席に案内され、メニューを出された。一応隅々まで見たが、コース料理を食べたいわけではないので、カルボナーラと、それとワインを頼んだ。「ワイン、あ、ヴィーノね」という感じの応対。対応してくれたのはあの給仕長。その次がいい。「ルージュか?」と聞いてきた。その「r」が、イタリア語の舌先巻舌風の「r」ではなく、軟口蓋をこすって出すフランス語の「r」。わたしもここは同様に、きちんとフランス語の「r」で「ルージュだ」と答えた。このやりとりがとても面白かった。
 初めにパンが出て、それからワイン。味見をして「OK」を出す。ここは正しいフランス語の言い方があるのかもしれないが、「ビヤン」とか「サヴァ」で通してもらった。
 ちょっと待ってスパゲッティが出てきたが、とろみとかクリーミーなところとかはほとんどなく、無駄なく正しく作ったものという印象がした。特にここがどうという味ではないが、例えば上からかけてあるチーズも「粉」ではなく、手でチーズおろしでおろして作ったもの。もちろん卵が熱で固まったようなところは少しもない。オーソドクスとはこういうものだと感じながら美味しくいただいて、喜んで帰った。パンはつき出しのようなもので、2ユーロ取られていた。サービス料を取っていないので、その代わりなのだろう。こういう店が好きな有名人がきっとたくさんいるだろう。
 あ、それともう一つ。えんじ色の紙ナプキンが、口を拭くのに、すごく使いやすかった。

追記:
 あの「給仕長」の男性の身のこなし、足の使い方のしなやかさも特筆ものだった。うまく説明できないが、狭い通路で、速足で歩きながら、わずかに方向を変えることで、ひととぶつかるのを見事に避けていた。足さばきの巧みさ!


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(パスタの色がオレンジ色がかっているのは照明のせい。写真1.の色です)
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