《ニーチェ》

瀬谷こけし


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 ナウムブルクに行ったのは、ニーチェが少年時代を過ごした場所を、そしていわゆる精神錯乱後に母親に心づくしのいたわりを受けながら過ごした場所を見て、そして感じておきたかったからだ。大都会ではなく、あの巨大なドームがあり、かつまたヒルデブラントのオルガンのあるヴェンツェル教会のある特別な環境のまさにその中で成長した人間として見ておきたかったし、またいわゆる狂気におちいったあとのほんとの姿はどんなものだったかを、考えるきっかけがほしかったからだ。幸い、「ニーチェの家」に行って、良質な解説とともに良質な写真を見ることができ、そこからさらに私の見方を、写真のフレーミングを鋭くすることによって、示せたように思う。1890年以降のニーチェは、狂人と言うよりも、私には賢人に見える。内面の激しい葛藤や争いがあるわけではなく、ただきわめて深い思想の伝え方がなくて、自分と自分の思想との対話だけで日が過ぎてゆくほかない、そういう日々を送っているまま老いてゆくほかに人生の送り方がないということを感受している、そういう人物に見えるのだ。そんなふうに写真をさらに切り取り直したのだが、それを感じてもらえないだろうか。そんな写真だ。
 そして今回はじめて気づいたことのひとつはこの上なく賢明な母親のぎりぎりの配慮がどのようなものだったかということだった。ニーチェは間違いなく神童だっただろう。そして母フランチェスカはそのことを十分に理解していた。




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