《ゲーテのお月見 --1828年8月25日ドルンブルクで》

瀬谷こけし
ドルンブルクのテラスからタウテンブルク方面
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 1828年8月25日ゲーテはドルンブルクで月を見ていた。多分傷心を癒していたのだ。時は日本で言えば初秋の望月の日。中秋の名月よりはひと月早い。そしてその72年後のその日はフリードリッヒ・二-チェの命日となる。そんな因果もあるものだ。
 この夜ゲーテはドルンブルクの城館の中から月を見ていたのだろうか。それとも外のテラスに出て、そこから月を見ていたのだろうか。私にはどうやら後者のような気がする。
 とすれば、月はタウテンブルクの方から昇ってきていただろう。あの丘陵を越えて。ゲーテのこの詩も素晴らしい。ドルンブルクもお月見のためには絶好の場所だろう。
 月は、遠くにいるだれかの心を運んでくれる。



DEM AUFGEHENDEN VOLLMONDE
Dornburg, 25. August 1828
Goethe



Willst du mich sogleich verlassen?
Warst im Augenblick so nah!
Dich umfinstern Wolkenmassen
Und nun bist du gar nicht da.

Doch du fühlst, wie ich betrübt bin,
Blickt dein Rand herauf als Stern!
Zeugest mir, daß ich geliebt bin,
Sei das Liebchen noch so fern.

So hinan denn! hell und heller,
Reiner Bahn, in voller Pracht!
Schlägt mein Herz auch schmerzlich schneller,
Überselig ist die Nacht.



昇りゆく満月に
1828年8月25日 ドルンブルク


おまえはわたしをこんなにもすぐに見放そうというのか?
さっきは一瞬かくも近くにいたというのに!
暗黒の雲の塊がお前を覆い、
今やおまえはどこにも存在していない。

しかしおまえは感じている、わたしがどれほど暗く悲しんでいるかを、
おまえの上端が星のごとくに昇ってきてきらめく!
そうして、いとしいおまえがいまだかく遠くにあっても、
わたしが変らずに愛していることを確認してくれる。

ああ、いまや上がってきた! 明るく、さらに明るく、
雲のひとつないまことの軌道を、煌めきのかぎりをつくして!
わたしの胸は苦しいばかりに早鳴り
夜はこの上もない至福となる。
(2016.9.12拙訳. Übersetzung von Masatsune Nakaji)

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