《Heilichnuechternes Wasser(ヘルダーリンの「生の半ば」の中の)》

瀬谷こけし


[nüchtern]の語源についてWebのDudenは次のように言っている。
http://www.duden.de/rechtschreibung/nuechtern

[mittelhochdeutsch nüehter(n), althochdeutsch nuohturn, nuohtarnīn < lateinisch nocturnus = nächtlich, ursprünglich = vor dem Frühgottesdienst noch nichts gegessen habend]。語源説明は「朝の神の奉仕の前のまだ何も食べていない状態の」ぐらいに訳せるだろか? だが、ヘルダーリンの「Hälfte des Lebens」
http://www.teeweg.de/de/varia/hoelder/haelfte.html

の中の[ins heilichnüchterne Wasser]の[nüchtern]の意味を考えようとすると、「酔いの中にも神聖な正気があるように」という神への願いを読み取るのがよいと思うし、そうなるとその神聖をもたらす神の名は夜の神バッコス=ニュクテリオス(ディオニュソス)であると取るべきで、
そうなると、ヘルダーリンのこの祈願の源にはオヴィディウスの『恋愛指南』(Ars Amatoria)の567-568行目(Nycteliumque patrem nocturnaque sacra precare, /Ne iubeant capiti vina nocere tuo.)があったと理解すべきではないだろうか(岩波文庫p.40)? 酒の酔いと接吻の酔いが変わっただけで、その酔いが正気を妨げないように、という祈願だ。

異論のある方はお知らせいただければ幸いです。


 ヘルダーリンの「生の半ばに」の原文は以下です。

HÄLFTE DES LEBENS

Mit gelben Birnen hänget
Und voll mit wilden Rosen
Das Land in den See,
Ihr holden Schwäne,
Und trunken von Küssen
Tunkt ihr das Haupt
Ins heilignüchterne Wasser.

Weh mir, wo nehm ich, wenn
Es Winter ist, die Blumen, und wo
Den Sonnenschein,
Und Schatten der Erde?
Die Mauern stehn
Sprachlos und kalt, im Winde
Klirren die Fahnen.


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