《ナウムブルクのマリーア・マグダレーナ教会》

瀬谷こけし


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《ナウムブルクのマリーア・マグダレーナ教会》
Marien-Magdalenen-Kirche in Naumburg (Saale)



 ニーチェは父の死後ナウムブルクに移ってからも何回か引越しをしているようだ。1858年に書いた「自伝I」の中には、1856年におばあさんが亡くなった後、ハールザイム牧師の奥さん(Auguste Harseim)の持ち家の一角を借りて住むことになった旨が記されている[Aus meinem Leben.I. KGW,I,1,S.301](文庫版『ニーチェ全集』15、川原栄峰訳pp.228-229)。そしてそこには、

>Dicht vor der Gartenthür steht die Marien-Magdalenen Kirche, an der H. Pastor Richter Geistlicher ist. Sie ist vor nicht langer Zeit wieder ausgebaut und recht nett mit Wandgemälden geschmückt.
>庭の戸のすぐ前に密接してマリーア・マグダレーナ教会が立っていました。そこはリヒター牧師が聖職者です。この教会は遠くない昔に改造され、壁画によってまことに優しく彩られています。(拙訳)

という記述がみられる(前掲書p.229)。一昨年ナウムブルクを訪れた時、宿を旧市内のマリーエントーアの近くに取っていたので、多分このマリーア・マグダレーナ教会と思われる建物の写真を撮っていた。
 そしてその教会の建物にはプレートがあり、それは次のように読めるものだった。そのプレートの文字の通りに改行して記すと以下だ。


Marien-Magda-
lenen-Kirche

Erst Mals erwähnt 1144.
Neubau als Friedhofs-
Kirche 1727-30.
Restauriert 1901-02.
Gesamtinstandsetzung 1971.
Ausgestattet mit Spiegel-
decke und Stukkaturen
von Brentani 1781.


 建築のことに疎く、まともに訳せないのだが、1856年、子供時代のニーチェが見たのはプレートに「Friedhofs-Kirche」としてと記された、130年ほど前に新築されたこの建物だったと考えられる。
 「自伝I」にはさらにつづいて「マリーア門=塔」についての記述もある。

>Von unsern Fenstern aus hatten wir eine sehr hübsche Aussicht. Die dichte belaubte Allee, weiter hinaus die Weinberge des Spechzart und rechts das alterthümliche Marienthor= und Thur.
>家の窓からはとても感じのよい眺めが見られました。たっぷり葉の繁った並木道。はるか向こうにはシュペッヒツァルトのブドウ山。そして右手には古めかしいマリーア門=塔。(拙訳)

 この時少年ニーチェの一家が住んでいた家は、今日では、『ニーチェ・クローニク』(Friedrich Nietzsche Chronik in Bildern und Texten, HanserVerlag, 2000)によってその住所まで知られている(Hinter der Marienmauer 621、今日のMarienmauer 2)。グーグルマップなどによって、「マリーエンマウアー」がどこかということはすぐわかるが、やや気になるのがドイツ語の「Hinter」だ。しかし町を囲む壁の外側ということは考えにくいので、ここは「壁の裏」と理解しておくのがよいだろう。
 すると、この少年ニーチェの家は南玄関で南北方向を棟として建てられ、その「右手」とは西側、ブドウ山は東側2km弱離れたザーレ川の向こうの丘陵のブドウ畑のことであろう。並木道は、壁の東側すぐ外の通り道(路面電車の走るところも含むか)のことだろう。ここは夏でも快適な木陰が得られる。



マリーア・マグダレーナ教会
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マリーア塔
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壁の外の草地と並木道
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ザーレ川東岸(左岸)の丘陵のブドウ畑 遠望と近映
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