シュトックハウゼンの「夜の音楽」---リズムにおける《一即一切》

瀬谷こけし

シュトックハウゼンの「夜の音楽」
---リズムにおける《一即一切》---


IME 直観音楽アンサンブル@摂津響Saal 
2020年10月30日

カールハインツ・シュトックハウゼンの指示による
「夜の音楽」の演奏

https://youtu.be/LLMDZ6mg-48



 カールハインツ・シュトックハウゼンの「夜の音楽」(NACHTMUSIK)は次のような演奏を指示している。


《夜の音楽》

宇宙のリズムで振動を一つ弾け
夢のリズムで振動を一つ弾け

夢のリズムで振動を一つ弾け
そしてそれをゆっくりと
宇宙のリズムに変えよ

これをでき限り何度も繰り返せ
(ウニヴェルザル出版社 14790J)


《NACHTMUSIK》

Spiele eine Schwingung im Rhythmus des Universums
Spiele eine Schwingung im Rhytumus des Traumes


Spiele eine Schwingung im Rhythmus de Traumes
und verwandle ihn langsam
in den Rhythmus de Universums

Wiederhole dieses möglichsit oft
(UE 14790)

 この曲の最も重要な点は夢のリズムをゆっくりと(langsam)宇宙のリズムに変えてゆく(verwandelnする)ところにある。それによって夢(Traum)と宇宙(Universum)の間にひとつに通路が、リズムによる通路が開かれてゆく。その通路を開いてゆくことをこの曲は命じている。

 さらに、曲はこの夢のリズムから宇宙のリズムへの変化をできる限り何度も(oft)繰り返すことを命じている。この追加される命令は、演奏者に夢のリズムから宇宙のリズムへの変化を容易なものにさせ、その両者の間の共通性を把握し、両者の間の移行のリズムの通路の明示することを容易させることに習熟させる。そして最終的には演奏を通じてその両者の一体性を把握しそれを示すことを要求している、と理解される。そうしてこの音楽は宇宙におけるリズムの一即一切の把握を命じているのである。宇宙のリズムとは「一切のものが一者にもとづけられてゐるという」(1)リズム的な事態のことであり、同時に一切のリズムを「もとづける」一者のことである。シュトックハウゼンの「夜の音楽」はこの一者の把握を音楽家に命じている。

 それでは冒頭に言われる「宇宙のリズムで振動を一つ弾け」とは何を意味しているのだろう。
(つづく)


(1)辻村公一「西洋と東洋に於ける「一即一切」の相違について」(辻村公一編『一即一切』1986年創文社、p.393)




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