「世界という大きな書物」  中路正恒ブログ

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help リーダーに追加 RSS お城で横になって授業の準備 お岩木様の見えるところで

<<   作成日時 : 2007/09/20 00:32   >>

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城から岩木山


瀬谷こけし
9月9日、前夜に弘前に着いた。久しぶりに京都からJRとバスを使っての弘前入りだ。前夜の台風9号の影響で飛行機が飛ばないおそれがあったからだ。それで急遽キャンセルをしてJRで盛岡に向かった。台風のために倒れている稲は岩手県南部の方が多いように見えた。一ノ関の近くでは冠水している田も見えた。
 9月9日は授業が始まる。文化会館を借りて、14時からだ。「環境文化論(津軽)」の授業。私もひとコマ授業をする予定だ。「お岩木様一代記」について。翌日に予定しているお山参詣への導入のための講義だ。そのお山参詣は「レッツ・ウォークお山参詣」に乗っかってのもので、宗教行事としての参拝とは違うのであるが、とはいえ九尺の御幣をもっての6kmの歩きはそれなりにしんどいものだ。そして声を限りに美しく、打ち上げるように、参詣詞を歌いながら行かねばならない。昨年は松並木に入ったところで声が嗄れてしまった。
 ともあれ授業の準備をしなければならない。岩崎武夫の『続山椒太夫考』の「お岩木様一代記」の章をきちんと読み抜いてから授業をしたかった。一番の問題はどこで勉強するかだ。ホテルにいれば勉強はできる。だが、この青天の下、ホテルの部屋に閉じこもっているのはなんとも鬱陶しい。どこか勉強できるところもあるだろうと思って授業の準備をして外に出た。だが、喫茶店をのぞいても、なかなか勉強しやすい店というのはない。結局津軽城に入った。どこか落ち着いて坐れるところがあればいいのだが。天守閣にも登った。だがこんなところでプリントを読むのも場違いだ(『続山椒太夫考』のその章はコピーして持ってきていた)。
 天守閣から下りると、そこここにベンチが見えて来た。絶好だ。あと直射日光の当らないところをさがして、眠さや疲れを取りながら、つまり横になりながら、プリントを読み通してゆくことだ。どちらの方角なのだろう、岩木山の美しく見えるところ(写真)の右の方に、木立があり、そして木陰のベンチがあった。屋外で横になれるところ、これは少ない。どこの町でも、かなり少ないと思う。前夜の寝不足。横にならないではいられなかった。
 やがてそのベンチにも日が差すようになってきた。近くの、昔は城の櫓になっているところだったのだろう。今は屋根のついた東屋風のものになっている。そこに移動した。そこでもまた横になってプリントを読んだ。やがて昼も過ぎた。あまり読み進まないので、レストランで食べるのはあきらめて、予備に買っておいたパンで昼をすますことにした。水はペットボトルがあり、またそばに水道もあった。そして一時半も過ぎたところでようやく読み終えた。岩崎さんの本はていねいな読解だ。だが幾つか疑問はある。とりわけ「歌」の効力に関心を払っていないところだ。実際「お岩木様一代記」では、何度か、歌を懸けることによって、安寿姫は奇跡を起こしているのだ。歌の大事さ。これは参詣歌を立派に歌うことにも共通するはずのことだ。これを忘れてしまっては、お山参詣の意味も半減してしまうのではないだろうか。お山のお岩木様に声を届けること。そのように声を打ち上げること。これが大事なことのはずだ。ただ唱えていればよいというものではない。
 ともあれ「お岩木様一代記」の安寿姫はけなげで、超元気で、魅力的だ。あの奈良美智の小さな鼻と、大きな吊り上がった三白眼をもった女の子のモデルは、じつはこの安寿姫ではなかったかと思えてきた。
http://www.aomori-museum.jp/ja/collection/nara/catalog/007.html
 少なくとも、「一代記」の安寿姫とよく似た性格とパワーを、奈良の描く少女は持っているように思う。なにせ、父親に疑われ、生れてすぐ土の中に埋められても、母親が差込んでくれた葭のパイプでおかげで天然の水などを摂り、三年後に掘り出してみると、「おがって(成長して)笑っている身体」なのである。奈良が「一代記」の話を知っていたかはしらない。しかしお岩木様の姿からは、けなげで不屈な少女のパワーが、歴史を越えて、いつまでも尽きることなく読み取られてゆくのであろう。
 その日の授業でも結局そういうことを話したのだった。





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奈良美智と「本を呼ぶ女」
 最近、中路正恒先生がブログで奈良美智について言及されているのを読んでから、奈良美智のことがすごく気になっていた。 http://25237720.at.webry.info/200709/article_9.html 彼はプレヴェールの「鳥への挨拶」の詩画集の絵も描いているし、彼のことを良く知りたいなあと思っていた。 http://uehara.lammfromm.jp/2006/08/post_209.html そして今日午後久しぶりの近くの古本市場に行くと、なんとあつらえたよ... ...続きを見る
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2007/10/14 00:35

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中路さんのこの記事を読んで奈良美智の少女が何を意味しているのか分かった気がしました。奈良美智はジャック・プレヴェールの「鳥への挨拶」の詩画集の絵も描いてますし、奈良美智ちょっと注目です(^^)。
magnoria
2007/09/29 17:52

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