今日撮らなかった写真

瀬谷こけし
 京都の話である。叡電の出町柳の駅から、西へ、出町桝形商店街の方にゆくと、左手に「中州」とか「三角州」と呼ばれている川合の三角地帯がある。その道と「中州」との間に以前はとべらの植えられていて、その生垣が境界になっていた。今もそこに行けばとべらの植え込みがあると思って、その写真を撮りに行った。だが、いまや植え込みはまったく、何も無くなっていた。ただ何本かの鉄かアルミかジュラルミンのパイプが、その、道と中州との境界を作っていた。もう何年も前からのことだろう。だがそのことに気がつかなかった。今日の今日まで気がつかなかった。何ということか。
 わたしがもうその辺を歩かなくなっているということがある。自転車で通ることも無い。ただ車で通り過ぎるばかりだ。それで気がつかなくなっていたのだ。家が遠くなったということは大きい。だが、そもそも何でとべらの生垣を無くしてしまう必要があったのか。それがわからない。あの、ジャスミンに似た強い匂いの白い花。夜、歩いていても、それだけで花のありかが分かった。もう、とべらは、加茂川ぞいのどこにも無くなってしまったのだろうか? 右岸にはまだあったかもしれない。そう言えば河岸を歩くことも、もう滅多になくなってしまったのだ。この生活の変わりようは何だ。
 整理され、京都はますます味わいのない町になってゆく。河岸の、人工的な、幾何学的な公園は、もうほとんど歩きたい所ではなくなってしまった。京都は、ますますつまらない場所になっていっている。たまらない。




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