巻くものの性 修羅の巷

瀬谷こけし
 ツル草というのか、そう分類したらよいのか、巻くことを性とする植物がある。藤や蔦や葛など、その類。みずからは茎や幹を立てて直立するということができない。代わりに直立する植物に巻きついて、たいていはその巻きついた植物の頂のところまで茎を伸ばし、葉を着け、その頂までの日の光や空気や風をわがものにしてゆく。どうも誉められた直物ではないように思うのだが、何ともならない。
 もともとは巻きついた草木を枯らそうというような気はないのだと思うが、実際しめつけたり引っ張ったりして殺してしまうことはあるようだ。また、いずれにせよ巻きつかれた方は、巻き締められて、思うように葉も伸ばせず、光を得るのも、風や空気を得るのも、制限されてしまうことになる。全く直立していたものが引き倒されてしまう姿は、いくらも目にすることができる。弓形のアーチにされたり、それが連なってまるでアーケード街のようなものを形成することもある。直立する草木の方がいつも不利な戦いを強いられているように見える。もともと締め付けて殺そうという気はないにしてもだ。
 この性、植物とはいえ、ヘビに似ている。あるいはニシキヘビと同じように、締め付けて殺そうと思っている植物もあるのかもしれない。
 そういう巻く性の植物も、人間にとっては利用のしようがあるようだ。巻きつける道具にしたり、籠にしたり、さらには吊り橋に使ったりだ。だが人間のことはともかく、ツル草を自分のために役立てている植物はあるのだろうか? わたしの、ここ二年の乏しい観察では、そういうものは見出せないのだが。しかし直立する草の繁茂をわずらわしいものと思う植物にとっては、そうして彼らが引き倒されることで、自分たちが光や風を受ける余地が生れたりしているのかもしれない。だがともかく、笹竹にとって、自分に絡みついて来る葛は何のありがたい存在でもないようだ。この植物社会も、修羅の巷と見ておく他ない。



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巻かれ、絞められ


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渡ってゆく


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絡まれてゆく


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巻くものの性




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