《2014春季創画展京都を見てきた》

瀬谷こけし
 今回も第一に推したいのは松本祐子。画題は「秋韻」。松本祐子が登場して以来、創画会は新しい時代を迎えたように思う。とりわけ松本の2012年の「春奏」。この作品はさくらを描いて、加山又造を越えた、と私は思う。
 今回の作は私が見る中でははじめて黒を打ち出した作だが、黒く描かれた桔梗の花と左上角の中間色二色で見事にバランスさせている。そして主題の葉の描き方が、きわめてシャープですばらしい。


《春季展賞では》

 春季展賞では、岡部隆志と奥村美佳。岡部の作「日々降り積もる」は、やや故意に下町風にした感じはあるが、ともあれ下町に降りつもる時間を感じさせ、よいなと思った。
 奥村の作「風の森」は、私にはこれまでのどの作よりも細やかでよいと思う。そしてどこかプッサンに似た近景と遠景の対比もよいと思うのだが、そして風に梢が流れて形が捉えがたくなるさまも、また奥の小枝まで丁寧にたどっているところなどすばらしいと思うが、しかし何を描きたいのかがよく分からない。何を描きたいのか?

 他に、今回は久しぶりに小池一範の作品がちょっと面白くて目に入ってきた。
 そして大村美玲の「鳥譜II」は、画像ではよく分からないが、非常にくっきりした目に対して、頭部がぼやけているそのぼやけ方が面白かった。
 また閑林宏祐の「木」は太い方の幹右側の実在感になみなみならぬものを感じた。

 他に気になった作品は以下:
池庄司淳「同化する風景」(雑草・重なり)、石原貴輝「遠い刻」(陸橋の長さ・月)、井手本貴子「雨宿り」(鮮明な色構成)、岡田裕美「リズム」(間延び?)、川浦誠吾「住み処」(魚種は?)、北山義浩「孤村潮風」(迷路風描線)、木村信筰「渓」(赤杉)、黒住拓「空への軌跡」(星座樹木合体)、杉本智美「遠い日のうた」(色合い)、須藤有希「信号機」(星空へ)、戸室ケイナ「Love it or Leave it」(磔刑を問う)、中尾真奈「静穏の空洞」(空洞の中に生えるものは?)、成田昭夫「かんざし岩」(岩壁)、早瀬玲「街の追憶」(面構成)、平田祐子「導」(混雑?)、宮毬紗「君と光と、新しい風と。」(薄緑の美)、吉川大介「朝露の路地」(鮮明体)など。

 そして最後には吉川弘を挙げておこう。今回の作「湖畔」では後景の山の稜線ちかく。きらきらと光るさま。宮沢賢治の「高原」という詩の、

> やつぱり光る山だたぢやい

は、こんな光景だったのかもしれないと思った。

 若い作家がどんどん力をつけていっていて、興味深い展覧会だった。
 (画像は閑林は図録から。他は絵葉書から)


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