《シューマン革命》

瀬谷こけし

ホリガーのシューマンのオーボエ曲は、このブレンデルのピアノ伴奏のもの(1980年)とアントン・ケルニャックピアノ伴奏の《灰の音楽》(2014年)のものとの二つある。私は後者の方がはるかに良いと思っている。何回か聴くとわかるのだが、ブレンデルは曲を「陽」にむかうものとしてしか構成できない(まるでベートーヴェンのように)。だが、晩年のシューマンの音楽の抜きんでた特徴は陰と陽のデリケートな交代の繰り返しとしてしか世界は存在しないという実感を、その陰陽交代のきわめてデリケートな場に身を置いて描き出すことだ。この新しいシューマンの発見は、アンデルシェフスキ(ピアノ、2010年)、イッサーリス(チェロ、1996年)、そしてこのホリガー(オーボエ、2014年)によるものだ。
 このシューマン革命は極めて深いもので、わたしはそのためにグールド(グレン)の演奏を聴く気がしなくなってしまったのだ。
 上記の三名の音楽家の中で、最も感覚の深み(深淵)を感じさせてくれるのはアンデルシェフスキだが、最も安定して鋭く的確なのはホリガーだろう。イッサーリスについてはもっと聴きこんでからものを言いたい。






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